2011年12月25日日曜日

記事掲載のお知らせ

参加していた墨東まち見世のブログで、当企画を紹介していただきました。
よろしければご覧下さい。

墨東まち見世ブログ 

2011年12月10日土曜日

「不在の存在」

  「すでに存在していない」ことは「何かが存在している」ことよりも、なぜこんなにも確かに感じ
られるのだろう。そして、すでに存在していないことは、なぜこんなにも何かの存在を感じさせるの
だろうか。

 墨東まち見世の企画のひとつ、KOの「わたしの小さな生活」。この作品は基本一人で体験するこ
とがベストだ。一人で感じること、一人でこの空間と文章と猫達の「不在の物語」と向き合うこと。
この作品は、体験者の中にある「不在」と「喪失」の感覚を呼び起こす装置のようだ。
 この作品の作者であるKOは、大正時代に建てられたという古民家に猫6匹と住んでいる。この建物
は賃貸物件で建てられてから様々な人々が住み、去っていった。無人のその部屋に体験者は入り、そ
こに置かれている私小説のような文章を読む。猫たちの徘徊するその部屋で、体験者は思い思いに過
ごし、時間になったら外に出る。
 賃貸物件というのは思えば結構怖いものだ。一つの箱に誰かが住み、去って行ってはまた違う人が
住む。普通の賃貸物件ならば住人が変わる間にクリーニングが入り、あたかも今まで誰も住んでいな
かったかのように以前の住人の痕跡を消す。痕跡がないことで、新たな住人は安心してその部屋に住
むことができるのだ。
 KOの住んでいる古民家は、そこに住んだ様々な人々の痕跡がいたるところに残っている。壁の落書
きも、柱の傷も、KOがつけたのか以前の住人がつけたのかわからないが、「誰かがそこに存在してい
た」という跡がそこかしこに残っている。
 いわば「不在」が充満している。

 青白い冷たい光がわずかに差す部屋の中で、文章を読む。文章は、この建物の歴史やKOが住むこと
になった経緯、ここでの生活、この建物に昔住んでいた住人のこと、いなくなった猫のことなどが私
小説風に綴られている。そこには何かを掴もうとし、それが手の間からすり抜けていき、やがてその
ものの存在自体が本当にあったかもわからなくなっていく感覚があった。
 いなくなる、というのは元々いない、というのとは違う。確かに、以前そこに存在していたはずの
ものが、今はいない、不在の状態。この部屋に住んでいた住人は今、ここにいない。わずかな痕跡と、
誰かの話によって存在を想像するだけだ。
 不在が充満する部屋に、誰かの気配がある。しかし誰の気配かはわからない。

 一体、何かが存在するということはどれだけ確かなことなのだろうか。私は今まで生きてきて何を
掴むことができたのか。いつでも人は時間とともに行き過ぎていく。痕跡だけを残して。そして、誰
かがそこに存在している現在よりも、その痕跡のほうがより存在が確かで、愛しさを感じるのはなぜ
だろう。
 もう動かない時間。過ぎてしまった時間。痕跡とは時間の抜け殻のようなものでもある。抜け殻は
思いと共にずっと残る。そしてもう動かない。好きなだけ、想うことができる。猫たちが徘徊する抜
け殻だらけのこの部屋で、KOの物語は終わることなく続いていく。それは胎内のようなこの部屋で、
抜け殻とともに永遠に産み出されない子どもの姿のようでもある。

 墨田区向島という街自体が時間の集積のような場所で、さらに濃縮された時間が、この部屋の小さ
な生活の中に在ったように感じた。

画家 工藤春香

2011年12月2日金曜日

わたしの小さな生活



 「わたしの小さな生活」は、企画者・大橋の自宅を無人の状態で一時間開放し、

上限二名と設定された参加者は、一時間をそこで過ごす体験型プログラムである。

完全予約制で、申し込みをすると参加者の自宅宛に招待状が届き、当日は東武伊

勢崎線 半蔵門線直通 曳舟駅から会場まで案内人が同伴する。無人の大橋宅に入

ると、リビングのテーブルの上に「わたしの小さな生活」と題された、この家に

住む「わたし」についての短編小説が設置されており、参加者はそれを読むこと

も、読まないこともできる。



2011年11月23日水曜日

報告展示します。




「わたしの小さな生活」が参加していた墨東まち見世2011 のクロージングパーティにて、
当企画の報告展示をいたします。


会場となった民家内の写真や、
企画内で用いられたテキストが一冊の冊子になって触れることができます。


墨東まち見世に参加した他の企画の展示や映像上映もあります。
「わたしの小さな生活」を体験することができなかった方も、
今年のまち見世はこの企画しか来なかった方も、ぜひお越し下さい。


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墨東まち見世2011メイン期間・クロージングパーティー
出演・展示:北村伊知郎/木村建世/KO/自転車部/石川良男, AndMore
1123日(水・祝)【開場】17:30【スタート】18:00
入場料:1000円(ワンドリンク・フード付き)
開場:現代美術製作所
住所:東京都墨田区墨田1-15-3


2011年11月9日水曜日

お申込受付終了いたしました。


12日(土)、13日(日)も定員に達し、お申込受付を終了とさせていただきます。
このたびは多数の方にご参加頂き、誠にありがとうございます。

体験して頂いたみなさま、ぜひ感想をお寄せ下さい。
watashinochiisanaseikatsu@gmail.com
 


本企画/ご参加、ご予約方法について

「わたしの小さな生活」は、墨東まち見世2011の参加企画です。
※墨東まち見世については当記事末尾に記載。

「わたしの小さな生活」では、無人の状態の、
実際に今も人が住んでいるお宅にお邪魔して時間を過ごして頂きます。
墨東エリアに残る古い民家の中を見て、過ごして、家の歴史を感じる、
このまちでの生活を感じる、その家に住む「わたし」の日常を感じるプログラムです。

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開催日時:11月5(土)、6(日)、12(土)、13日(日)
        11 - 12時、13 - 14時、15 - 16時、17 - 18時  (途中退場可)
定員:各時間2名様まで 
参加費:無料 
完全予約制/予約・問い合わせ先: 
    watashinochiisanaseikatsu@gmail.com 
   代表者の住所、氏名、連絡先、人数、希望の日時を明記の上ご予約ください。 
   招待状を送らせていただきます。ご予約は当日の三日前まで。
   当日は招待状をご持参いただき、時間の15分前に
   東武伊勢崎線 半蔵門線直通曳舟駅改札口よりご案内致します。 

滞在時の会場は無人の状態となります。 
また、会場となる民家では猫を複数飼育しているため、猫が苦手な方や動物アレルギーを 
お持ちの方は予約申し込みをお控えください。

◆個人情報について◆
個人情報が含まれるプログラムとなります。
入場前に個人情報利用同意書にご署名いただく場合がございます。
また、招待状送付のために頂く参加者さまの個人情報に関しては、
その目的以外に利用することはございません。予めご了承の上ご予約下さい。

※予期せぬ災害や家屋のトラブルにより中止になることがあります。ご了承ください。 

企画:KO(「わたしの小さな生活」実行委員会)
協力:金善美、国武葵、高橋康浩、開 康寛、北條元康、山本梢、ゆりこ
   (五十音順・敬称略) 
   宮元町会、ご近所のみなさま

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「墨東まち見世」とは
墨東エリアに息づく多様な文化の視点を通し、これからのまちと暮らしを多方面から探っていくことを目的に平成21年度より継続的に展開されているアートプロジェクトです。東京の様々な人・まち・活動をアートで結ぶことで、東京の多様な魅力を地域・市民の参画により創造・発信することを目指す「東京アートポイント計画」の一環として実施されています。

主催:東京都、東京文化発信プロジェクト室(公益財団法人東京都歴史文化財団)、特定非営利活動法人向島学会
後援:墨田区、一般社団法人墨田区観光協会、財団法人墨田区まちづくり公社
 

2011年10月28日金曜日

招待状



招待状の発送が始まりました。


まだご予約受け付けております。
明るい時間帯と暗くなってからと、家の中はかなり雰囲気が違います。
一日のうちに両方空いている日もまだございます。


予約方法詳しくは 本企画/ご参加、ご予約方法について   まで。

 

待つ


2011年9月2日金曜日